* another sky *


「…お…ね、が…い、…。」



嫌だよ、航太……。


こんなの、航太じゃない。



頭の上で両手を押さえ付けられ、私は身動きができない。


捲れ上がったTシャツの裾から、航太の手のひらが侵入する。




このまま…、抱かれるの?



そんなの、嫌だよ…。





「…や、だ…っ。」





他の人を抱いた手で、私に触れないでっ!!!





もう、航太が違う人、みたいだ。






「いっ、いや……。



いっ、嫌ああああっ!!」






崩壊しそうになる感情を、必死に呼び戻す。




壊れてしまいそうになる自分を、必死で奮い立たせて……。




いっそのこと、感情のない人形になれたら良かったのに。




壊れてしまった方が、きっと楽だったよ……。





――――――!!





「…っ、ごめ、…。

俺、…何、してんだ…。」





慌てたように身体を離すと、航太は茫然として私を見下ろした。





航太…。




私たちはこんなふうに終わってしまうの?





「…玲。」




航太が何か話している。




だけどもう、何も聞こえなかった。




お願い。




そんな苦しそうな顔を、しないで。





昨日まで、あなたの存在は私の全てだったのに。




今は、航太の声が、聞こえない。
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