* another sky *

「えっ。」


断言された言葉の衝撃に、思わず怯んでしまう。


「…、梨花…、あのね。」


これでも、前向きに考えられるように、なったんだよ。


確かに、傷ついたけど…。

航太だけのせいじゃ、ないっていうか…。

私にも悪いところがあったからなんだろうって…。


「航太だけの、せいじゃないよ…。」


「は?
何、馬鹿なこと、言ってるの?」


「ん…、でも……。」


そんな私の声を遮って、凛とした声が、響き渡った。



「渡瀬さんは最低だし、麻友理も最低。」



――――――――?



「…、麻友理??」


どうしてここに、麻友理が出てくるの?



「麻友理がどうして、最低なの…?」


「……っ!!」



私のこの言葉は、梨花にショックを与えたようだった。



「玲、――――。


もしかして…、知らないの?」



え、――――?



「本当に、何も知らないの?」


「あ、あの、――――。

梨花が何を言ってるのか…、わかんないんだけど…。」


「…っ、玲っ!!」


梨花は、私の肩を揺さぶりながら、言い放つ。


「…玲、何も知らなかったの?」


何が起きているのか、わからない。



だけど、――――。



頭の中で、危険信号が激しく鳴り始める。




早く、――――。



早く、ここから立ち去らなきゃ。




梨花、お願い。


 

私を離して。
< 172 / 769 >

この作品をシェア

pagetop