* another sky *

後ずさりする私を見て、梨花は一瞬、躊躇するような表情を見せた。


「玲…。」


そして意を決したように、静かに言い放たれた言葉に、私は愕然とした。



「渡瀬さんと…、麻友理、


…、付き合ってるんだよ…。」



え、―――――?


航太と麻友理が…、付き合ってる?


航太と麻友理が?



「あは…。

梨花…、冗談、きついよ…。」


「何、言ってんの。

こんなこと、冗談で言えるわけっ…。」


「…、だって……。

航太と麻友理が…、どうして…。」



何かが、ガラガラと、音を立てて崩れていく。




何、――――?



何が、起こってるの?




麻友理が、――――?



麻友理が……?




グラリと、揺れたのを、梨花が腕を掴んで支えた。



「…、うそ…。」



呆然としながら視線を移すと、苦しそうに唇を噛みしめている梨花と目が合った。


「おいで…。」


私の手を引きながら、梨花は近くのベンチまで歩き出す。



座るように促した後、私の両手を握りしめながら、


「落ち着いて、聞いてね。」


と、潤んだ瞳を私に向けた。




落ち着いて、――――?




落ち着くって、……



どう、すればいいんだっけ?




頭が、回らない……。


思考が、真っ白になっていく…。
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