* another sky *

「…どう、話したらいいのか…。」


切り出したものの、振り上げた拳は持って行き場のない状態で。


どれくらい、時間が経ったんだろう…。


ゆっくりと私の方に視線を向けると、梨花は重たい口を開き始めた。



「…、あのね。」


「…、うん。」


「私…、気になってて…。」


「…何を?」


「うん…。
この間の…、スノボ。」


「スノボ??」



梨花が何を話し出すのか、見当もつかない。

ただ、心がぎゅっと、縮んでいくようで。


「スノボ、行ったじゃん。
みんなで……。」


「…、ああ……。」


「あの時…ってさ、玲が…。

玲が麻友理を、誘ったの?」



何、――――?


スノボの、話……?


あの時は、確か……。



「誘ってたのは確かだけど…、麻友理は行けないって。

梨花も聞いてたでしょう?

綾ちゃんが一生懸命誘っても、麻友理、行くって言わなかったでしょう?」


「だよね、―――。

じゃあ、何で急に、麻友理が来ることになったの?」


「それは、……。

麻友理からメールがきて……。」


「いきなり?」


そうだ。

高橋君と会えなくなったって、言うから心配で…。


「高橋君がドタキャンしたって…。

一人でいたくないから、私も行ってもいい?って……。

それが、…どうしたの?」
< 174 / 769 >

この作品をシェア

pagetop