* another sky *


「信じられ…ない…。」


両手で顔を覆い項垂れた私を、梨花はそっと抱き寄せた。


「玲……。

ずっと一人で、我慢してたんでしょ…?

ほんと、馬鹿なんだから…。」


「……っ!!」


「恋人の親友に手を出すなんて、あいつ、頭、おかしいんじゃないのっ。

麻友理も、麻友理。

ありえないでしょ。

だって、麻友理、言ったんだよ?

玲には自分から話すから、黙っててって。

渡瀬さんも玲と話をすることになってるからって。

心配で、私も綾子も玲に電話したんだよ。

なのに、繋がんなくて…。」


「ごめん…、携帯…。」


「馬鹿っ。
何で玲が謝んのよっ。」


頭が重くて、耐えられない。

梨花の肩に、寄りかかるように頭を乗せる。


「きつい……。」


「玲…、笑わないでよ…。」


私、笑ってる…のかな。

何かもう、身体の自由が、きかなくて……。


「…梨花、泣かないでよ。」


私の代わりに、ボロボロと涙を流す梨花の手のひらに、そっと自分のそれを添える。


「私は…、許さないわよ。

あの二人を、許せない。

玲を…、こんなに苦しめて……。」


梨花、……。


「…玲。

本当に、本当に何も、知らなかったの?」


「…うん。」


私はこくんと、頷いた。

頷いたまま、顔を上げることが、出来なかった。
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