* another sky *
「…、玲?」
一呼吸おいた後の、懐かしい麻友理の声。
そんなに時間は経ってないのにね。
…柔らかく耳に届く、あの優しい、声。
「…うん…。」
私の目から、涙が、溢れ出す。
「…梨花に、番号、聞いたの。」
「…うん。」
麻友理…。
嘘だって、言って……。
悪い冗談ね、って、笑い飛ばしてよ……。
「聞いたんでしょう?」
「……っ。」
怖い、――――。
麻友理の事が、怖いだなんて…。
今日まで、思ったこと、なかったのに…。
沈黙が、痛い………。
「玲…。」
麻友理の声は、震えていた。
「聞こえてるんでしょう…?」
「……っ!!」
ずるいよ、麻友理。
「…、…っ。う、…っ…。」
先に泣いちゃうなんて。
何も、言えなくなるじゃない…。
―――――――。
「…玲、電話してたんだけど…。
ずっと、つながらなくて…ね。」
「…、ん…。」
どうにか、涙を堪えて、返事をする。
意外と冷静に声が出ることに、自分でも、驚いた。
きっと、――――。
…麻友理が先に、泣き出したから…、だ。