* another sky *
唇が、震える。
ああ、……。
そっか……。
私、泣いてるんだ…。
静かな部屋に、嗚咽が漏れる。
「……っ。」
泣き喚いて、号泣することさえ出来ないなんて。
涙を必死に抑えようとしている自分が、みじめだった。
「一緒に行こうか。」
私に責任を感じているらしい梨花を断って、一人で麻友理に会いに行く。
「友達とか、彼氏とか、以前の問題だよ?
人として、最低だよ。」
最低…、か…。
感情が素直に表せる梨花が、羨ましい。
だけど、これは私の問題。
一人で立ち向かわなければ…。
逃げるわけには…、いかない。
向き合わなきゃ……。
私は意を決して、家を出た。
「玲っ。」
麻友理は髪をばっさりとショートにしていた。
どんどん短くなっていく髪形が、麻友理の気持ちを表してたのかなって。
今更ながらに、ちょっとへこむ、私。
あんなにさらさらの、長い髪が素敵だったのに、ね。
全て割り切ったんだね。
通りで、いつも潔い感じがしたんだ。
前を向いていないのは、私。
私もさっぱり捨てられたんだなと、実感した。
そっか。
冬休みが終わって麻友理と学校で会ってから、まだ3週間しか経っていない。
もっと、もっと、時間が過ぎていったように思えたのに。