* another sky *
「来て、くれたんだね。」
「…うん…。」
「…寒いね。」
お昼過ぎなのに外は暗い。
雪でも降り出しそうな、雰囲気だ。
無言のまま歩いた。
いつも一緒に歩いていた街並みも、色褪せて見えるから不思議だ。
学校帰りにいつも立ち寄ったカフェ。
私たちはカフェオレを頼んだ。
そう、いつも私と麻友理は、カフェオレで。
この店はたくさんの思い出が詰まっている。
そんなことを思いながら、麻友理に視線を合わせた。
何を言い出すんだろう……。
冷たくなった指先が震えているのに気付いて、麻友理に気付かれないように、テーブルの下でそっと摩り合わせる。
「…久しぶりだね。」
「うん。」
「…髪、切ったんだ。」
ショートカットから覗く耳には、大きめのピアスが揺れていた。
………。
………。
沈黙が、刺さるように痛い。
二人でいれば、話はいつも尽きなかったのにね。
会話が持たないなんて…、ね。
「私ね。」
カフェオレをひと口、口に含ませると、麻友理はそっとカップを置く。
「渡瀬さんが好き。」
「……っ!!」
わかってたけど。
そんな話をするって、わかってたけど。
あまりにも突然に、話を切り出した麻友理に、私はたじろいでしまう。