* another sky *

「でも、玲、バイトで忙しかったでしょ。

だからまた、今度ゆっくりって話してて。

でも…なんとなく。

二人で行くことになって…。」


「…そっか…。」


「断り切れなかったの…。」


知らなかった。

そんな話、航太から出たこともない。

完全に二人で、の話だ。


「その時、由樹の相談とかしてて…、ね。

いろいろ相談のってもらって…。

私、玲がうらやましかった。

すごく大切にされてて。

渡瀬さん、すっごく、優しくて…。

素敵だなぁって、思ったの。

でも、―――。

二人がこのままずっと、上手くいくといいなぁって。

そう、思ってたんだよ。」


――――――――。


「だけど、…毎日電話してると、ね。

…どんどん好きになっていく、自分がいて…。」


…毎日、電話してた?


いつから、―――?


「こんな状態じゃあ、駄目って。

玲を裏切ってるみたいで……。

…だから、スノボも、行かないって思って…。

二人が仲のいい姿、見ていたくなくて…。


だけど、だけど。」


怖い、――――。

次に何を、言いだされるんだろう。


爪が手のひらに食い込む痛さで、必死に冷静を保ちながら、麻友理の告白に耳を傾ける。


「渡瀬さんが……。

渡瀬さんが、一緒に行こうって、言ってくれたから…。

そばにいてあげるからって…。」


航太、――――!!
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