* another sky *

「私たち、真剣なの。」


「えっ…?」


急に大きな声で言われて、慌てて視線を、戻す。


そこには、大粒の涙を浮かべた、麻友理がいた。


「玲には本当に悪いと思ってる。


でも、私。


渡瀬さんのこと、本気だから。


…、愛してるの。」


ボロボロと涙を流しながら、それでもきゅっと私を見つめている。


これだけは、譲れない。


鋭い視線が、弱った私を射抜いていく。


―――――――。


「玲には、悪いって思ってる。

だけど、渡瀬さんと…、離れられないの……っ。」


両手で顔を覆い、俯く麻友理。


―――――――。


何だか…、全てが芝居がかっているみたいで。


あは…。

私だけ、置いてけぼり…?


「許してほしいなんて、言わないから。

でも、ちゃんと謝りたか…。」


もう、そんなこと、聞きたくない。


「だから、待ってって。」


私は真正面から麻友理を見据えた。


麻友理の声を、遮って。


「麻友理、私ね、もう航太とは別れたの。

もうよりを戻す気もない。

だから、好きにしたらいいと思う。」


「えっ…、…でも…。

玲は航太のこと、まだ好きなんでしょう?」



航太、――――。



さらり、と口にされた、言葉に息をのむ。


私以外の人が呼ぶ、航太。


何だか、不思議な感じが、した。
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