* another sky *
「正直、――――。
声、かけ辛かったんだよなぁ。
でも、仕事でまた会うかもしれないし…。
うん、頑張ってるようだったぜ。」
「そっか。」
「でも、えらい雰囲気は変わってたな…。
玲ちゃんはやっぱ…、ちっちゃくて、可愛くて…、と。
ま、いっか。」
佐藤は遠慮したのか、最後まで言わなかった。
気を使ってもらうと何だか余計に、苦しくなる。
「お前には、麻友理ちゃんがいるんだもんな。」
「…、ああ。」
結婚、するなら……。
麻友理みたいな女の方が…、いいんだろうって、思う。
付き合うようになって、余計に、そう感じた。
美人だし、隣に並んでくれるには、自慢、だよな。
性格も穏やかだし、割と従順。
俺が仕事しやすいように、陰でサポートしてくれて。
きっと、子どもが出来ても、家事に手を抜いたりしない。
いつも綺麗にしてくれて、女を忘れたりしない。
家庭を守ってくれる、男にとって、理想の妻…、なんてね。
頭では、わかってるんだ。
ただ、――――。
俺には先が…、あまり見えないのも現実で。
麻友理は、俺じゃなくてもいいんじゃないかって。
きっと、他の男でも、同じことだろう。
それは、麻友理が持って生まれた、性質、だから。
依存というには言葉が悪いが、麻友理が前に付き合っていた恋人が、かなり関係しているように思えるんだ。