* another sky *
それから、しばらくして。
打ち合わせの帰り、だった。
今日は桜木さんに同行してもらったので、打ち合わせもスムーズに終わった。
「吉野、お昼食べてから戻ろう。」
会社に戻る前に、少し遅めのお昼ご飯を食べようと入ったお店で、私は思いがけない人と再会した。
「玲ちゃん??」
「…千尋さん。」
「ああ。やっぱり玲ちゃんだ。」
千尋さん、――――。
航太の、歳の離れたお兄さんの、…義理のお姉さん。
航太のお嫁さんになることを夢見ていた、あの頃。
いつか私たちも姉妹になるのかなって…、勝手に想像してた。
「綺麗になったのね。」
あの頃と変わらない、素敵な笑顔で、私を優しく包み込む。
「ご無沙汰しています。」
久し振りに会えて、嬉しいはずなのに。
胸が、ぎゅーっと、苦しくなった。
千尋さんは、関係ないのに…。
もう、過去に振り回されないって、決めたのに。
まだまだ、だなぁ。
佐藤君に会ってからというもの、私の心臓は時々、痛み出す。
「ああ、良かったわ。
玲ちゃんには、もう一度会いたかったから…。」
「私も、です。
千尋さんにはたくさんお世話になったから…。」
「吉野。私、奥に座ってるから。」
「あ、はい。」
桜木さんは気を利かせて、奥の席に歩いて行く。