* another sky *
「久しぶり…だね。元気だった?」
「…はい。」
「わぁ、玲ちゃん。
社会人になったんだねぇ。」
あの頃とは違う、大人びた服装の私を見て、千尋さんは目を細めた。
「仕事中だよね。ごめんね。」
「あ、いえ。
お昼を食べようと思ってたので…。」
どうしても、堅苦しくなってしまう。
思わず苦笑いを浮かべた私に、千尋さんは悲しそうな笑顔を見せた。
お互いどこから話していいのか、接点を探すように模索して。
「私ね、男兄弟しかいなくて…。
いつか、玲ちゃんと姉妹になれると思ってたから…。
正直、残念に思ってたの。
玲ちゃんみたいな妹、いたらいいなって…。
なんて、ね。」
素直に嬉しくて、私は俯いた。
何だか、照れてしまったんだ。
もう、絶対にあり得ないことだから、余計に嬉しくて…。
「私も千尋さんが…、大好きでした。」
最初は、航太のお兄さんの奥さんということで、かなり舞い上がっていた、私。
「どうしよう。何て挨拶したらいいのかな。」
だって、義理のお姉さんなんだよ?
緊張しちゃって、手が震えてくる…。
「大丈夫だよ。千尋さんは良い人だからさ。」
ガチガチの私に、たくさん話しかけてくれた千尋さん。
千尋さんの温かくて包容力のある人柄に、私は子どものように懐いてしまった。