* another sky *

始まりはいつだったんだろうと、思い返したことがある。

だけど、わかんなかった。

それぐらい、私は何も気づいていなかったから。


ただ、きっかけはたくさんあったんだろうなって…、思う。



今、思えば、――――。


…全てが繋がっていたような、気がするんだ。



そう、あれは―――。


夏休み、前。



講義を終えたあと。



学生最後の夏休みはどう過ごすの?なんて。

みんなでお喋りをしながら、帰る準備をしていた時、かな。


その日は朝からうだるように暑くて。

エアコンの効いた教室から、みんななかなか出られないでいたんだ。


「玲…。ちょっといいかな。」


「ん?」


教室の喧騒の中、消え入りそうな、その声。

か細くて、弱々しくて。

振り向いた私の目に映ったのは、憔悴しきった親友の顔だった。


―――――!!


「えっ? 

…麻友理、どうしたの?」


今にも泣き出しそうな麻友理を目にして、私は思わず焦ってしまう。


ちょっと待って。


何があった、―――?
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