* another sky *

二人で出かけるようになって、ランチに行ったり、美術館に行ったり、いろいろ誘ってもらって嬉しかったなぁ。

お姉さんって、こんな感じなのかなって。

何の挨拶もなく途切れてしまった関係に、私自身、後ろめたく感じていて…。

でも、どうすることも、出来なくて。


「航太君と玲ちゃんが別れてしまって、本当に残念よ。」


「…、はい。」


そこはもう、苦笑するしかなかった。


「もう、全然連絡取ってないの?」


「はい。」


「そっか…。」


千尋さんは少し考えるように、言葉を選んでいるようだった。


「私、渡瀬さんとは別れてしまったけど…。

あの頃はすごく楽しかったし、千尋さんと出会えたことにも、凄く感謝しています。」


「そう…。」


「私も千尋さんのようなお姉さんがいたらなって、ずっと思っていました。」


「きっと私たち、仲良くやれたのにね。」


「今日、会えて良かったです。」


「私も。」


「じゃあ、もう、行きますね。」


桜木さんの待つテーブルに行こうと、席を立つ。


「玲ちゃん。」


「はい…?」


振り向きながら、返事をした私に、千尋さんは困ったような笑顔を見せた。


「おせっかい、なんだけどね。

聞いてくれる?」


「はい…。」
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