* another sky *
状況が飲み込めない私を置いて、さっさと受付を済ませると、案内された奥にどんどん入って行ってしまう。
ちょ…、ちょっと…。
スタッフが部屋から出ていくと、おろおろする私に向って
「あー、おなか空いた。
吉野は、何食べる?」
と、にっこり笑う。
え、――――?
「あのまま、あの店にいたら…吉野、倒れそうだったからさ。」
「あ…。」
「そしたら、友達?
その子と話してる時の吉野、酷い顔してたから。」
「……っ。」
「ほら。個室だから好きなだけ叫べ。」
「えっ……。」
「心に溜め込んでると、爆発するよ。
さっきの吉野、あれ、おかしいだろ。」
―――――――!!
「私はご飯食べるけど、気にしないでね。」
桜木さんの優しさが身にしみて、泣きそうになる。
「ほら。吉野は何食べる?」
「…オムライス。」
「オムライスと唐揚げ定食。あとウーロン茶2つ。」
泣かない。
そう思ったのに、涙がとめどなく溢れた。
何で私だけ、こんな目に合うんだろう。
泣きたくなんかないのに。
私の思いとは裏腹に、事態は少しずつ動き出したような気がする。
もう、関わりたくなんかないのに。