* another sky *

「なんか、重そうな感じだね。」


「…はい。結構、重いです…。」


「泣け、泣け。
吉野が泣くなんて、よっぽどだ。
写メ撮って、諏訪君に送っちゃお。」


「桜木さん…。」


「ん?」


「ありがとうございます。」


「いーよ。」


桜木さんの優しさに触れ、私は声をあげて泣いた。


「動画にして送ろうかな。」


「嫌ですっ。」


「あ、元気、出てきた?」


その笑顔に、私はまた泣いてしまう。

誰かがそばにいてくれる、幸せ。

こんなにも心に沁みていくなんて…。


私、寂しかったんだ。

「大丈夫だよ。」って、誰かに言って欲しかったのかな。


いつもそばにいてくれたのは、麻友理。

そして、航太。

二人が私の、核、だったから。


ねぇ、航太…。

どうして、麻友理だったの…。


麻友理……。

こんなふうになっても、やっぱり完全に憎めない…。

麻友理の存在が大きすぎて、私は孤独を埋められない。


麻友理、――――。

あなたは私を捨てたのにね…。

どうしても、嫌いになれない自分が、情けなくて……。


「桜木さん…。」


「ん?」


桜木さんは唐揚げを頬張りながら、顔を上げる。

「今日、飲みに誘ってもいいですか?」


「あー。じゃあ。
今日は諏訪君には、遠慮してもらうか。」


「はい…。」


何も聞かず、私を泣かせてくれた桜木さんの優しさに感謝した。
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