* another sky *
戸惑いを隠せない私に、倒れ込むようにしゃがみ込んでしまう、麻友理。
「……っ!!」
一気に、頭の中が混乱する。
「…ど、どうしたの?」
麻友理は自分の感情を、表に出す方じゃない。
そんな彼女が、大勢の人の前でこんなに感情的になるなんて…、今までなかったこと。
「…えへへ。」
泣き腫らした赤い目で、必死に笑おうとする姿が見るに忍びない。
「麻友理…。」
その姿は、満身の力を振り絞って、悲鳴を上げているように見えた。
「……っ。」
何が、あった―――??
麻友理はとにかく、ビューティフルな人。
普通に街で見かけても、芸能人だって思ってしまうくらい、そんじょそこらの女優さんよりも綺麗だったりする。
ちょっと天然なところも、可愛くて。
この絶妙なバランスが、人気の高さなんだと思う。
そして、何よりも私が魅力的だと思うのは、声。
甘くて、フラットな声質は、滑らかで。
会話をしていると、いつも柔らかな雰囲気に包まれているような、気がするんだ。
穏やかで独特の空気感を纏っている麻友理は、学生は勿論、先生からの人気も高かった。
そんな麻友理の、尋常じゃない様子にクラスメイトも驚いた目でこっちを見ていた。