* another sky *

「…っ、ほら、ここ、座って。」


私は麻友理を抱えあげると、近くの椅子に座らせた。


「どうしたの…?」


「どうも、してない…ん、だけどね。」


そう言いながら、必死に笑おうとする姿が、痛々しい。


どうもしてない、なんて……。


胸が痛くなった私は、思わず麻友理の髪を撫でていた。


「…玲、…。」


ポツリと麻友理が呟いた、その瞬間。


麻友理の大きな瞳から、大粒の涙が溢れ落ちていく。



――――――!!



慌ててハンカチを取り出し渡すと、麻友理はとうとう泣き出してしまった。


「…っ、玲…。……。」


ああ、もうっ。

どうしたらいいの……。


みんなの視線を感じて、私は余計に焦ってしまう。


とにかく、ここじゃ人目が多過ぎる!


「麻友理。

ね、学食でも行こっか。」


力の抜けてしまった麻友理は、下を向いたまま頷いた。

そして、私の腕をぎゅっと掴むと、しがみ付くようにくっ付いてくる。


「助けて…、玲…。」


「…麻友理…。」


怖かった。


何が、麻友理をここまで……?


話を聞く前から、不安で不安で、仕方がなかった。
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