* another sky *

「玲っ!! 待って。」


振り返った玲の、驚いた顔……。

そして、ゆっくりと歪んでいく表情…。

それを目の当たりにして、私は一瞬、怯んでしまう。


「…麻友理…。」


私はいったい…、何に攻め立てられているの?

こんなにも玲は…、私を拒否しているじゃない。

何故、追いかけてしまったんだろう。

だけど…。

躊躇している場合じゃない。


「玲…。あのっ。」


今の私に、余裕なんてなかった。


「玲、あのね。

…連絡先、教えてっ。」


―――――――!!


驚愕の瞳は、私を突き放すのに、十分の威力があった。


「お願い。携帯を…。」


「……っ。」


さっき、店で見せたような、取ってつけたような笑顔すら、もう出来なくて。

玲の表情が、怖くて仕方がない。

引き下がれない自分に、泣きそうになる。


「今さら、何で?」


「話したいこと、あるのっ。」


「私はないよ。」


―――――――!!


玲って、こんなにも強かったっけ…?

私に対して、ここまで強く出れる子だったっけ……?


「私には、あるのっ。」


「嫌だ。教えたくない。」


はっきりと私の目を見て、玲は、断言した。

これ以上、関わりたくないとしっかりと意思表示を見せて。


「……っ。」


だけど、私だって、ここで引くわけにいかないの。
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