* another sky *
「ごめ、……。
ちょっと、やばかった…ね…。
性急過ぎた…。」
翼は、ふぅーっと、息を吐く。
「何か玲の反応が、可愛くて…。
我慢、出来なかった。」
照れくさそうに笑う瞳が、私を捕らえて離さない。
「…我慢…しなくても、いいよ……。」
もっと触れてほしい、自分がいる。
「え、それって…。」
「翼になら、…触れられても…いい。」
一瞬、目を見開いて驚いた翼は、
「ったく、――――。
俺、結構、我慢してたんだぜ。」
と、笑う。
…そうだね。
いつも一緒に寝てくれたけど、優しいキスを、ひとつだけ。
それ以上のことは、決してなかったから。
翼はもう一度、はぁーっと、息を吐きながら。
私の額にかかる前髪をそっとかき分けると、優しく微笑んでみせた。
「キスだけじゃ、我慢出来ない、…かも。」
「…うん。」
「…抱いても…、いい?」
私は視線を合わせたまま、そっと瞳を閉じる。
少し間をおいてから、翼の唇を、感じた。
啄むような、軽いキスを何度も、繰り返していく。
私が翻さないのがわかると、
「本当に、いいの?」
と、もう一度、確認して。
「ん、――。」
「夢、じゃないよな…。」
ベッドに押し倒した私を見つめながら、額にひとつ、キスを落とした。
「今なら、止めれるよ。」
ふわっと笑って見せた表情に、私は覚悟を決めた。