* another sky *

確かに、今回のことは、きっかけにはなった。

けれど、そばにいてほしいと思ったのは、私の方で。

翼は、私がきちんと向き合えるまでずっと待ってくれていたこと。

私が、翼を必要としているんだって、気付いたことに梨花は喜んでいた。


「玲の彼氏に是非合わせてね。」


「玲が…幸せって言ってくれると…、本当に嬉しい!!」


梨花はずっと泣きっぱなしだった。


そう、そして本題。


麻友理からの、電話のこと。

当然、二人もひどく驚いていた。

もう、完全に私とは切れた話だと思っていたから。


「麻友理から??」


「何て?」


「偶然、千尋さんに会って…。
そこにね、麻友理が…。」


「それで?」


「もう、私は関わりたくないの。
放っておいてほしいの。
それなのに…。」


『携帯を…連絡先を教えてっ!』


「…麻友理…必死だった。
何で今さらって、断っても必死で…。

私、もうどうしていいかわかんなくて…。」


―――――――。


黙ったまま、お互いの顔を見合わせる綾子と梨花に、不自然さを感じて。


「麻友理だって、私と話したいことなんてないでしょう。

私は麻友理と……。

麻友理と航太が続いていたことだって知らなかったし…。」


「麻友理…何で今さら…?
渡瀬さんと上手くいってないのかな。」


梨花が訝しげな声を漏らす。
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