* another sky *
「で、結局、――――。
玲にそこまでして話したかったってことが、黙っててくれってことだったの?」
「うん。そう言ってた。」
「…玲、その話、なんだけどね。」
私は瞬時に、身構えた。
それを見て、梨花はすぐに私の肩を抱く。
え…、なに、綾ちゃん…。
やっぱり、何か、あるの…?
「渡瀬さん、カナダに発つの、結構すぐらしいの。」
「すぐ…?」
「うん、多分、2週間もないんじゃない?」
そんなに急なんだ…。
私は、ふーんと、唇を噛む…。
「渡瀬さん…、一人で行くらしいよ。」
「は? 一人?
麻友理は、――――?
別れてないよね?」
つい大きな声を出した梨花が、慌てて口をつぐむ。
「ん―――。
何となく…、気持ちの整理をつけたいみたい。」
気持ちの…整理…?
「じゃあ、麻友理は…?」
「玲、――――。」
綾子のきっぱりとした口調は、私を封じる。
わかんない……。
航太が気持ちの整理って…、どういうこと?
じゃあ、麻友理は何で私に電話してきたの?
私の頭の中で、麻友理の声が反芻する。
『私ね、ついていくことにしたの。』
あれは…、いったい……?