* another sky *

「麻友理は……。

最後に、玲に会いに行ったでしょう?

私、麻友理に怒ったの。」


え、―――――。


「だって……。

麻友理のやったことは許されることじゃないのよ。

しかも相手は、玲よ。

玲と麻友理がどんな付き合いをしてたか、知ってる私たちとしては、ごめんなさいで済む話じゃないでしょうって。」


「……ん、…。」


「そんなの自分が楽になりたいだけよ。
そうとしか、受け取れないもん。」


すぐさま、突っ込むように梨花が口を挿む。


「…でも、麻友理、必死で…さ…。

渡瀬さんは……。

責任感で麻友理と一緒にいるように見えたし…。」


「…責任感?」


「玲と別れた後、荒れたんだよね、渡瀬さん。

紺ちゃんもずっと相談にのってたっていうか、飲み歩いてたんだけど。

その間も、ずっと麻友理がそばにいたみたいなのよね。」


「うわっ、願ったりかなったりの、状況じゃん。
麻友理はそれを狙ってたんじゃないの?」


「ん、―――。
そうかもしれないね。

でも、一生懸命だったのは、確か。

頑張ってたのよ、麻友理。」


「そう、なんだ…。」


指先から、冷たくなってくるのを感じた。


何、この、違和感……。


航太が荒れていたなんて、……理解出来ない…。

だって、二人はお互い愛し合ってたんじゃないの?

私がいなくなれば、それで良かったんじゃないの…?
< 298 / 769 >

この作品をシェア

pagetop