* another sky *
「麻友理は……。
最後に、玲に会いに行ったでしょう?
私、麻友理に怒ったの。」
え、―――――。
「だって……。
麻友理のやったことは許されることじゃないのよ。
しかも相手は、玲よ。
玲と麻友理がどんな付き合いをしてたか、知ってる私たちとしては、ごめんなさいで済む話じゃないでしょうって。」
「……ん、…。」
「そんなの自分が楽になりたいだけよ。
そうとしか、受け取れないもん。」
すぐさま、突っ込むように梨花が口を挿む。
「…でも、麻友理、必死で…さ…。
渡瀬さんは……。
責任感で麻友理と一緒にいるように見えたし…。」
「…責任感?」
「玲と別れた後、荒れたんだよね、渡瀬さん。
紺ちゃんもずっと相談にのってたっていうか、飲み歩いてたんだけど。
その間も、ずっと麻友理がそばにいたみたいなのよね。」
「うわっ、願ったりかなったりの、状況じゃん。
麻友理はそれを狙ってたんじゃないの?」
「ん、―――。
そうかもしれないね。
でも、一生懸命だったのは、確か。
頑張ってたのよ、麻友理。」
「そう、なんだ…。」
指先から、冷たくなってくるのを感じた。
何、この、違和感……。
航太が荒れていたなんて、……理解出来ない…。
だって、二人はお互い愛し合ってたんじゃないの?
私がいなくなれば、それで良かったんじゃないの…?