* another sky *
「…麻友理はね、卑怯な手を使ったわ。
賭け…、だったのかな…。」
「賭け……?」
「お酒を飲んで寝てしまった渡瀬さんに、玲が気づくようなところに跡をつけたの。
でもね、――――。
渡瀬さんはそんなものがあるってことすら、知らなかったらしい。
あの日、玲をおいて帰ってしまったのは、ね。
麻友理に確認するため。」
「……っ。」
「玲の名前を使って呼び出されて…。
でも、酔ってたわけだし、何があったのかちゃんと聞こうとしたみたいよ。
そこで麻友理が…。
最後まではなかったけど、渡瀬さんが手を出してきたって言ったらしい。」
―――――――!!!!
「中途半端な言い方よね。
じゃあ、どこまでだって話よ。」
「……っ!!」
「…玲、大丈夫?」
ちょっと…、待って…。
何が…、どうなって…。
それじゃあ、麻友理が…、麻友理が全部…。
私と航太を別れさせるために…、麻友理が全部、謀ったってこと…?
「ご、ごめ…ん。
頭が…、ついていかないみたい…。」
拭っても、拭っても、溢れ出した涙は止まらない。
綾子は席を立って、私の横に座る。
そして、何も言わずに私を両手で抱きしめた。
「渡瀬さんね、誤解だからって玲に言ったっていうのよ。
でも玲は、ショックで放心状態で…。」
「え…。
そんなの…、聞いてない…よ。」