* another sky *

「航太のことは本当に大好きだったから。

…だから、やっぱりショックだな…。

麻友理に惹かれてたのは、事実なんだし…。

どういう経緯であれ、私は…もう…。」


それよりも、ね。


「…麻友理が大好きだったから。

麻友理を私から奪った航太が…、許せなかった…。」


「…そっか。」


綾子の目には涙が浮かんでいた。


そう、――――。

航太は私の全てだった。


だけど、麻友理は、―――――。

私の大切な、大切な、親友だった。


時間が経てば、経つほど悲しくて…。

学生時代の思い出は、全部、麻友理と一緒だったんだもん。

日々の生活の中、ふとした瞬間に思い返してしまう。

この、不意に現れる感情に、私は怯えていた。


許せないのに……。


『麻友理に会いたい』って、そう思う気持ちが、私を苦しめた。

自分と向き合ってみて気付いたんだ。

私にとって、麻友理の存在がどれほど大きかったのか。

麻友理がいないことが、こんなにも辛いのかって…。


失くしたくなかったものは平和な日常。


その中で私にとって大きな比重を占めていたのは、大切な友達。

航太の事は、大好きだった。

私の精神的なものは航太によって支えられていたから。

だけど、ね。

私はずっと麻友理、麻友理と、失くした親友の姿を追い求めていたことに気付いたんだ。
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