* another sky *

やっぱり、―――――。


「翼は強い…。」


ちょっぴり下唇を噛みしめながら。

オロオロと、瞳を揺らす私を可笑しそうに笑って。


「でも、次の為に準備だけはきちんとしておこうって。

俺、負けず嫌いだしさ。

次は負けない、練習からもう逃げないって。

積み上げたものがないと、不安だろ?」


「…不安…。」


「まぁ、あれがきっかけ、かなぁ…。
自分と…、向き合えたんだろうね。」


「そっか…。」


「だから…さ。」


そっと頭に手のひらを乗せると、視線を促すように、私を見入る。


「いいんだって。」


「…え…?」


「辛い時は、立ち止まってもいいんだよ。」


―――――――!!


「…わ、わかんないの…。

立ち止まるって…どういうこと、なのか。」


「うーん…。」


翼は、泣きだす私の頬にそっと触れ、

「ま、とりあえずこの2日間は休むってことかな。」

と、笑う。


「そ、そんなことで?」


「そんなこと、じゃないだろ。
熱もあるし、ここにいてゆっくり休むこと。

まずは、出来ることから。

なっ…?」


翼は私の額を軽く小突くと、

「ったく、―――。

心配ばっか、かけやがって。」

と、優しい眼差しを向けた。
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