* another sky *
「うん。居たいだけ居ていいよ。
しばらく泊まってって行きなよ。」
「ほんと?」
麻友理…。
無理して笑わなくてもいいのに…。
私はやり切れない思いに、押しつぶされそうだった…。
家までの帰り道。
空を見上げると、まるで金貨のようにお月さまが輝いている。
「ね、見て。ピカピカだぁ。」
雲ひとつない、濃紺の夜空に輝く、黄金の満月。
「綺麗だねぇ。」
「しかもお月さま、今日、大きくない??」
「東京は星、あんまり見えないのにね。」
「今日は特に綺麗じゃん。」
私たちは顔を見合わせて笑った。
「たくさん泣いたからかな、お腹がすいたね!」
すっと私の腕に手を回し、麻友理はにっこりと笑う。
「いっぱい飲んで、忘れちゃおうっと。」
―――――!!
もう、見てらんないよ…。
苦しそうに笑う姿が、痛々しくて極まりない。
違う。
麻友理はそうじゃない。
麻友理はいつだって、キラキラ輝いてなきゃ。
今夜のお月さまの様に、周りを優しく包み込む、母性の人。
みんなを導いてくれるような、そんな人。
愛と美の女神、アフロディーテのような人なんだぞ。