* another sky *
「別れたくないって言えば、
…別れなくて、いいのかな…。
長かったしね、正直、由樹がいない人生なんて…、
全然…わかんない。」
長い二人の歴史が、重く圧し掛かる。
「…でも、もう別れるしかないのかなって…。」
―――――!!
「そっか…。」
私は言葉に詰まって、唇を噛んだ。
「あのね、
由樹……、
好きな人いるみたいなんだ…。」
――――!!
「は?? なに、それっ。」
憤った私は、思わず大きな声を出した。
「あのね、もう1年くらい前からかな…。
私が由樹の家で半同棲みたいになってて…。
もうお互いの両親からも、了承は得てたし。
私たち、このまま結婚するんだろうって…。」
うん。
そうだね。
結婚するんだって思ってたよ。
「でね、卒業したら地元に戻って…。
そのまま一緒に住もうってなってて…。」
嗚咽を繰り返し、呼吸が荒くなってしまった麻友理のことを、私は抱き寄せた。
「…っく…ぅ…ひっく…。」
ぐしゃぐしゃになった麻友理の背中を、摩ってあげることくらいしか出来ない自分が情けなくて…。
―――――。
静かな部屋の中で、麻友理の泣き声だけが響いている。