* another sky *

「結婚するのに、やっぱりお金、…いるでしょ。

親に頼ってばっかりじゃ、申し訳ないし。

結婚式、しなくてもいいって言ったのに……。

…バイト、増やしたの、由樹…。


そこで、ね……。


新しい、バイト先で、好きな人出来たんだって。

だから…、だからっ。


別れてくれって。」


―――――!!


結婚を前提にして、バイト、増やしたんだよね…?

どうしてそこで好きな人が出来て、別れる事になってしまうの?


猛烈に怒りが込み上げてくる。


「高橋君は本気なの?」


「うん…年上でね、一緒にいて落ち着くんだって。

私、由樹に…頼ってばっかりだったし…。

甘えてばっか…、だったしね。」


そんな…そんなことって…っ。


「高橋君は麻友理のこと、大好きだったじゃない。」


それなのに。


「…高橋君、アイツ、何、言ってるの!!」


「もう…。アイツ、呼ばわり?」


麻友理は私を窘めるように、制した。


こんなやつ、アイツで十分だよ!!


「玲…。

玲が怒っても仕方ないでしょう…。」


一人でカッカと怒りだす私を、クスクスと笑う。


「だって…。

麻友理、来週、高橋君になんて言うの?

別れてもいいの?」


「だって、って…。

もう、どうしようもないじゃない…?」


―――――!!


「もうね、わかってたの。

会ってもね、やることやって、帰って行っちゃう。」


「……っ!!」
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