* another sky *
そんなに喜んでもらえるなら、勝手に言わせておこう。
だって、諏訪さんも桜木さんも本当に喜んでくれているのがわかったから。
私もなんだか嬉しくなって、ちょっぴり泣きそうになった。
「吉野がよく泣くって、最近知ったんだよね。」
すかさず桜木さんが笑い出す。
「まじか! 吉野が…泣く!?」
諏訪さんは本当に驚いた顔をして、私に視線を向けた。
そんな中、カバンの中の携帯が鳴り出した。
――――――!!
一瞬で、心臓が跳ね躍る。
やだ…。着信にいちいち驚くなんて…。
「……っ。」
表示を見て、安堵する。
翼からだ…。
私は二人に断って、電話に出た。
「玲、今どこ?」
「諏訪さんと桜木さんと、ご飯食べてるよ。」
「え、いいなぁ。俺も腹減った。」
「翼も来る?
さっきから諏訪さんが翼も呼べってうるさくて。」
「まじ、―――?
じゃあ行く。店、どこ?」
電話を切ると、聞き耳を立てていた、諏訪さんと目が合う。
「翼君、来るって?」
「はい、―――。
多分、後30分くらい、ですかね。」
「ほおぉー。じゃあ、いろいろと問い詰めねば。」
にんまり笑う諏訪さんが本当に親戚のおじさんに思えて、私は笑ってしまった。
いろいろ合ったけど、私は前へ進んでいる。
そう教えてくれたのは、翼。
私はもう、大丈夫だ。
この時はそう、思っていたんだ。
翼がいたら、もう何も怖くないって。