* another sky *

俺は綾子ちゃんの瞳をしっかりと見つめ返して、応える。

彼女には、嘘や言い訳が通用しないと思ったから。


…っ。

面倒くさいな…。


そんな俺の表情を読み取ったのか、綾子ちゃんは溜め息を吐いた。


「…別に、―――。

一緒に連れて行け、なんて思ってませんよ。

…ただ、……。」


ただ、―――?

ただ、何だ?


「渡瀬さんは麻友理と付き合い始めたってことは、…玲の事はもういいんですよね?」


――――――――!!


『玲』


動揺が、わかったんだろう。


綾子ちゃんの瞳が、揺れた。


「麻友理も…、玲も…、私の友達です。
もうこれ以上、二人が傷つくのを見てられません…。」


「えっ…?」


「私、自分でもわかってます。

嫌なこと、聞いてるって。

関係ないのに口出ししてって、思ってるでしょう。

でもね、このままだと…また…。」


また、―――?


「ちょっと、どういう意味なのか…。
わかんないんだけど…。」


俺は綾子ちゃんと紺を、交互に見る。

下を向いていた紺は、観念したように、ぽつりと話し始めた。


「航太、――――。

俺も綾子もいろんなことがわかったのは、最近だ。

ただ、二人で話し合って……。

航太が何も知らないのは、良くないと思ってさ。」


――――――??


「いったい、――――。

何の、話をしてるんだ?」
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