* another sky *
「お前、嵌められたんだよ。
麻友理ちゃんに、―――――。」
「そんな言い方、しないでよ。」
綾子ちゃんが、紺の膝を叩く。
「航太だけじゃない。玲ちゃんも、だ。」
「馬鹿っ、―――。
決めるのは渡瀬さんでしょ。
紺ちゃんの先入観で話さないでよっ。」
キッときつい視線を向けながら…。
綾子ちゃん、……?
泣きそうになるのを…我慢している…?
…………。
ちょっと…、待て。
お前ら、何を言ってるんだ?
麻友理が…、俺を嵌めた?
玲も、――――?
紺を睨んでいた綾子ちゃんが、俺に向き直った。
「紺ちゃんは、――――。
渡瀬さんの友達だからこんな言い方しか出来ない、ボキャブラの少ない男ですけど。
…ちゃんと、私の話を聞いてくれますか?」
…おい。
紺、酷い言われようだぞ。
確かに、紺は先走りする性格だけど…。
…ふっ。
俺は少し気持ちが軽くなって、
「ああ。ちゃんと聞く。」
と、言った。
遠慮なく何でも話してくれよ。
俺にはもう、何も残ってやしないんだから。