* another sky *

「あのですね、聞いたんですけど、……。

何でもいいの、一点張りで。」


「渡瀬さんに何貰うの?とか、欲しいもの決まった?とか、何度か聞いては見たんですけど…。」


「具体的なものは、無かったの?」


「それが玲、言わないんですよー。
プレゼントなんて、いらないって言うんですぅ。」


「そっか。」


玲のことだ。

何となく、想像できる。


「今日もしつこく聞いちゃったんです。
そしたら怪しんじゃって…。」


あれから3日間は、ずっとこんな会話の繰り返しだった。


「困っちゃいますよねー。」


そう言って笑う麻友理ちゃんに、正直、答えを聞いてから連絡くれないかな、なんて思っていたんだ。


1週間くらい経った頃かな。


「玲、時計が欲しいって言ってましたぁ。」


やっと返ってきた、明確な答えにホッとする。

もういいよ、って言いそうになってたのが、本音。


「時計か…。」


実際、俺が考えていたのも時計だったし、読みが当たったことも、嬉しかった。


ただ、――――。


可愛いものを想定していた俺に麻友理は、

「いえいえ、―――。

可愛いんじゃなくて、大人っぽくてシンプルな、綺麗系なものって話してましたよ。」

と、アドバイスをくれる。


「そっか…。それは聞いて良かったよ。
ありがとう。」


「いえいえ。玲の為だから。」


俺の印象は、良い子だな、麻友理ちゃん。


それだけ、―――――。
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