* another sky *

そして、スノボ、―――。


頃合いを見つけて麻友理の元へ行った時、その時点で俺はもう、玲を裏切っていたんだと思う。


麻友理が、俺の肩に顔を寄せて眠ってしまった時も、そのままにしていた。


『俺も寝てて、気付かなかったよ。』


いつでも弁解出来るように、周りの視線を確認して。


麻友理の気持ちに拍車がかかっていくのを、黙って見ていたんだ。


「渡瀬さんが好きっ。

…玲のことが、一番大切だって、わかってる。

…私、それでもいいの。」


泣きながら電話をしてきた麻友理に、

「俺には玲しかいないから。」

と、告げる。


自分でも卑怯だなと、わかっていた。


「玲には言わない。

絶対に言わないからっ。」


「俺、そんなつもりもないし。

悪いけど、玲しか見えないんだ。

玲以外の女なんて、目に入らない。」


それから暫くは、連絡が途絶える。


これで、いいんだ。

これで、良かったんだ。


俺は目の前にいる、玲を愛している。


玲は、……離せない。

玲を失うなんて、考えられない…。


麻友理は、……玲には及ばない。


そう、はっきりと自覚して。


無邪気に俺の横で眠る玲を、悲しませたくない……。


俺は、一人、後悔していた。

馬鹿な真似をしてたもんだって、……。
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