* another sky *

そして、クリスマス…。


22時を過ぎた頃、接待で飲みすぎた頭を冷やそうと、駅のホームでベンチに座っていた時だった。


麻友理からの着信。


出ようか…、放っておこうか…。


悩んだ末に、通話ボタンを押す。


「渡瀬さん、メリークリスマスっ。

これで諦めます。

だから、……。

少しだけ一緒にクリスマス…、しませんか?」


「…無理だから。」


「お願いっ!!

由樹が、……っ。

渡瀬さんのこと、由樹が知っちゃって。

玲に言うっていうから、私、逃げてきちゃって…。

誰にも頼る人、いないし…。

お財布も、……置いてきちゃったし…。」


終電には間に合うように、帰るつもりだった。


グダグダに酔ってしまった麻友理を一人置いて帰る訳にいかない…。


かといって、俺の部屋に連れて帰るのも…。


玲に、……。

玲に話して、みようか……。


偶然、会ったって、言えば、――――。


いや、そんなリスク、冒したくない。


「…ったく、――――。」


ホテルの部屋に入ると、直ぐに泣きながら抱きつかれた。


「……っ。」


「好きなの。どうしようもないの。

玲の彼氏だって、わかってる。

でも、渡瀬さんが好きっ!」
< 374 / 769 >

この作品をシェア

pagetop