* another sky *
そして、クリスマス…。
22時を過ぎた頃、接待で飲みすぎた頭を冷やそうと、駅のホームでベンチに座っていた時だった。
麻友理からの着信。
出ようか…、放っておこうか…。
悩んだ末に、通話ボタンを押す。
「渡瀬さん、メリークリスマスっ。
これで諦めます。
だから、……。
少しだけ一緒にクリスマス…、しませんか?」
「…無理だから。」
「お願いっ!!
由樹が、……っ。
渡瀬さんのこと、由樹が知っちゃって。
玲に言うっていうから、私、逃げてきちゃって…。
誰にも頼る人、いないし…。
お財布も、……置いてきちゃったし…。」
終電には間に合うように、帰るつもりだった。
グダグダに酔ってしまった麻友理を一人置いて帰る訳にいかない…。
かといって、俺の部屋に連れて帰るのも…。
玲に、……。
玲に話して、みようか……。
偶然、会ったって、言えば、――――。
いや、そんなリスク、冒したくない。
「…ったく、――――。」
ホテルの部屋に入ると、直ぐに泣きながら抱きつかれた。
「……っ。」
「好きなの。どうしようもないの。
玲の彼氏だって、わかってる。
でも、渡瀬さんが好きっ!」