* another sky *
俺も接待の後で、相当酔っていたのは、確かだ。
やばい、―――。
必死に抱きつかれ、俺は一瞬、後ずさりする。
「強く、抱いて。
…これが最後のお願いだから…。」
泣きながら俺を見つめる麻友理に、……。
俺はぐらり…、揺れた。
「好き…。愛してるの…。」
衝動的に…、抱きしめてしまう。
「…ありがとう…。
これで、諦めるから……。」
これ以上は、無理だ。
これ以上は、―――。
麻友理の誘いに乗ってはいけない。
なのに、――――。
俺を真っ直ぐに見つめる、潤んだ瞳を見た、瞬間。
どうしようもないくらいの衝動に、襲われて。
街中を彩る、クリスマスの夜。
こんな密室で、俺は、何をしてるんだ??
キスを、―――――。
駄目だ…。
わかっているのに。
俺はキスを止められなかった。
俺は自分の欲求に、負けたんだ。