* another sky *

あの時は確か、……。

夜に麻友理から電話があって……。

麻友理は何も言わなかったじゃないか…。


「逃げるようにその場を離れた玲を追いかけてきて…。

必死に、連絡先を教えてくれって懇願したそうです。

玲が、断っても、断っても、お願いだからって。

あの子、仕事中だったらしくて…。

会社の人もいる前だったから、根負けしちゃって…。

そしたらその夜…、電話がかかってきたそうです。

…渡瀬家の皆さんに、喋るなって。

二人が友達だったってことを、言わないでくれって。」


――――――!!


「まじ、か…。」


「玲がもう関係ないことを告げると、マリッジブルーなのかなって電話を切ったって。」


マリッジブルー………?

麻友理は、何を言いたいんだ?

今さら玲に…、何を…。


「渡瀬さん、――――。

麻友理と付き合い出したってことは、もう玲の事は吹っ切ったんでしょう。」


「……っ。」


「やっぱり、吹っ切れてないんだ…。

でもね、玲のこの2年間の気持ち、考えたことありますか?」


「……っ!!」


「当然、ありますよね?

玲はもう、前へと進んでいるんです。

やっと、進み始めたばっかりなんです。

もう、そっとしておいてほしい…。

あの子、一人で戦ってたんですよ?

過呼吸の発作も抱えて、……。」


「え、―――?」
< 383 / 769 >

この作品をシェア

pagetop