* another sky *
「信じられますか?
信じられないでしょう?
あの、玲が、―――ですよ?
あんなに天真爛漫な玲が、必死に一人で乗り越えようとしてるんです。
あなたのしたことは、玲をボロボロになるまで傷つけた。
意味、わかりますよね?」
「……っ!!」
「薬に頼んなきゃ、眠れなくなって。
突然襲ってくる発作に怯えて……。
玲をそこまで追い詰めたのは、あなた、でしょう…?」
「…俺、―――――。
謝ってない……んだ…。
玲に、会えないまま、終わったから……。」
「あなたは、麻友理を選んだんでしょう?
麻友理と付き合おうって思ったんでしょう?
カナダに一人で行くのなら、麻友理に心配いらないよって、はっきり言ってあげて下さいよ。
あなたと麻友理の問題は、玲にはもう関係ないの。
玲を、解放してあげて……。
それが出来るのは、渡瀬さん、……。
あなた、だけ、―――。
麻友理と、ちゃんと向き合って…下さい…。
中途半端な気持ちなら、もう……。」
一気に言い切った綾子ちゃんは、わっと顔を伏せた。
その背中を、紺が優しく摩っていた…。
俺はショックで、……暫く、動けなかった。
だんだんと、いろんな事がわかってきた。
辻褄が、…合っていくじゃないか…。
目の前で衝きつけられた現実は、ゆっくりと俺を締め付ける。