* another sky *

「信じられますか?

信じられないでしょう?

あの、玲が、―――ですよ?

あんなに天真爛漫な玲が、必死に一人で乗り越えようとしてるんです。

あなたのしたことは、玲をボロボロになるまで傷つけた。

意味、わかりますよね?」


「……っ!!」


「薬に頼んなきゃ、眠れなくなって。

突然襲ってくる発作に怯えて……。

玲をそこまで追い詰めたのは、あなた、でしょう…?」


「…俺、―――――。

謝ってない……んだ…。

玲に、会えないまま、終わったから……。」


「あなたは、麻友理を選んだんでしょう?

麻友理と付き合おうって思ったんでしょう?

カナダに一人で行くのなら、麻友理に心配いらないよって、はっきり言ってあげて下さいよ。

あなたと麻友理の問題は、玲にはもう関係ないの。


玲を、解放してあげて……。


それが出来るのは、渡瀬さん、……。


あなた、だけ、―――。


麻友理と、ちゃんと向き合って…下さい…。

中途半端な気持ちなら、もう……。」


一気に言い切った綾子ちゃんは、わっと顔を伏せた。


その背中を、紺が優しく摩っていた…。


俺はショックで、……暫く、動けなかった。



だんだんと、いろんな事がわかってきた。


辻褄が、…合っていくじゃないか…。



目の前で衝きつけられた現実は、ゆっくりと俺を締め付ける。
< 384 / 769 >

この作品をシェア

pagetop