* another sky *
「玲には…、幸せになってもらいたい。
でも、…何て言ったらいいのか…。
俺、玲とちゃんと話せないまま終わったんだ。
会ってちゃんと謝りたくて……。
だから、ずっと、…残ってるんだよ。
…それが何かは、わかんないんだけどさ。」
「だから、――――。
もう、それは今更、なんだよ。
玲ちゃんに謝って、どうすんだよ。
未練がましいんだよ。
綾子も言ってただろ?
謝られたら玲ちゃん、どんな思いするかわかってるよな?」
「……っ。」
「お前さ、――――。
じゃあ何で、麻友理ちゃんと付き合うことにしたんだよ。
そこは、……駄目だったんじゃないの?」
「…麻友理は…。
俺が荒れてる時も、そばにいてくれたから…。」
「そりゃいるだろ。
お前を手に入れるために別れさせたんだから。」
…くっ―― 。
「俺はどうしようもない男なんだよ、ったく。」
「認めたんなら観念しろ。」
紺は俺の肩を抱いて笑った。
麻友理と向き合って、何を話せばいいんだろう。
確かめなければならないことも、ある。
カナダへの出発までもう、時間がない。
――――――――。
俺は覚悟を決めて、麻友理へ電話をかけた。
「今から行くよ。」
玲、――――。
最近まで、一人でいたんだ…。
無意識に、空を仰ぐ。
幸せ、なのかな。
胸の奥が、チクリと痛かった。