* another sky *
side by MAYURI
あれ、――――?
玄関を開けると、少し疲れた表情の航太が立っていた。
「おかえりなさい。」
笑顔で迎える私を、航太は溜め息と共に、視線を伏せる。
いつもは優しく笑ってくれるのに…。
疲れてる…の…?
カナダへの転勤が決定してからというもの、二人で過ごす時間があまりない。
送別会やら同窓会やらと企画されて、いろいろと忙しいみたいだけど…。
私と過ごせる時間、あんまりないんだよなぁ…。
航太って、彼女優先、って出来ない人なのよね…。
会社関係や学生時代の友人ばかりが優先されて、ちょっと寂しいっていうのが、本音。
彼女ですって、紹介してくれたらいいのに。
そしたら一緒に参加出来るのに…。
ちょっと甘えて、拗ねてみたりしよっか…?
でも、仕方ないかな……。
文句も言わず、大人しく待つキャラ、なわけだし……。
こうやって、航太が安らぐ場所を提供するのが、私の役目。
そう思って、我慢してる、毎日。
そしたらね、さっきの、不意の電話、――――。
「今から行くよ。」
その声に、胸が、躍る。
いつ航太が来てもいいように、部屋だって毎日掃除してる。
冷凍庫には、すぐに何でも出せるように、下ごしらえしたものがいくつか入っている。
航太が居心地が良いように、私はしっかり尽くしてるつもり。