* another sky *

だから、――――。


早く、言ってくれないかなぁ……。


一緒、にカナダについて来てくれって。


航太はエリートだもん。

親だって、すぐに認めてくれるのに、な…。


「ご飯、食べるよね?

今日はエビマヨとね、―――。」


「麻友理。」


私の言葉を遮って、航太は玄関へと足を踏み入れる。


ん、…?

どうしたんだろう…。


いつになく真剣な瞳に、私は目を見開いた。


「…何、…どうしたの?」


「話が、あるんだ。
ちょっとこっち、来てくれる?」


視線を伏せたままそう言うと、航太はずんずんと廊下を歩き、リビングにあるソファにどかっと座った。


「ほら、早く、――――。」


斜めに顎を上げて。

まるで促すような眼差しで、私を見入る。


「う、うん…。」


その強張った表情が、私を一気に不安にさせた。


何、……、どうしたっていうの…?


私は緊張しながら、航太の横に座る。


「…話って…、どうしたの?」


「おまえ、さ、――――。」


航太の、毅然たる口調に、私は思わず竦み上がった。


「えっ、……。」


強く真っ直ぐなその瞳は、私の心臓を跳ね上がらせるのに十分な威力があった。


おまえ、――――?


航太が私のことを、おまえって、言った……。

乱暴な言葉なんか、今まで発したこと、なかったのに。
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