* another sky *
ずっと前から誘われていた、佐藤君とのデート。
いい加減、断る理由も無くなって。
顔は悪くないけど、つまらない。
面倒くさいなって思ったけど、ま、いっかって、……。
嬉しそうな声で喜ぶ佐藤君に、悪い気は、しなかったし。
適当な映画を見て、適当に食事して。
楽しくなかったわけじゃないけれど、やっぱり私は佐藤君に恋愛感情は持てないなって、確信しただけ。
だって、全然、ときめかない。
「あ、今度さ、―――。
玲ちゃん、誕生日なんだろ?」
「え、よく知ってるね。」
「航太がさ、―――。
玲ちゃんが何が欲しいのか、麻友理ちゃんにそれとなく聞いてきてくれって、言われてたんだった。」
――渡瀬さん、……。
「そんな話とか、する?」
「あ、うん。
誕生日の話とか、毎日してるっ。
でも、確実にこれっていうのは聞いてないなぁ…。」
「そうなんだ。
航太、玲ちゃんにメロメロなんだよなあ。
玲ちゃんの喜びそうなことばっか、考えてさ。」
「でも、女の子は嬉しいよ。
渡瀬さんみたいに優しい彼氏。」
「ま、あいつは優しいよな。」
そこで話が終わろうとするのを、止まらせるかのように私は提案する。
「あ、そうだ。
ねえねえ、佐藤君っ。」
「何? どうしたの?」