* another sky *

「ねえ、由樹。

今度の連休、実家、帰るでしょう?」


「今、金欠なんだよ。」


テレビを見ながら食事していた由樹は、私に振り返ろうとも、しない。


「じゃあさ、どこか近場でいいから、出かけない?」


「連休、混んでんだろ。」


「……っ。」


由樹は私が俯いてしまったことすら、気付かない。


ねえ、私が話してるの。

何故、私の方を見ないの?


昼間、玲と渡瀬さんがお互いを思いやるような温かな眼差しで見つめ合い、会話していたことを思い出す。


「…マンネリ。」


「え、今、何て言った…―――?」


私の方へ顔を向けた由樹は、私が泣いていることに面食らったような表情を見せた。


「え、―――。

麻友理、どうした?」


―――――――。


ぽたぽたと涙がこぼれ落ち、私は顔を覆って項垂れた。


何だか、がっかりしたんだ。


どうしたって…?

わかんないんだって……。


「麻友理、何で、泣いてるんだよ。」


やっと箸を置き、私へと向き直る由樹。


「…だって、私の話、全然聞いて…ないじゃない…。」


「聞いてるよ。

今、金欠だからどこへも行けないって、言ってるじゃん。」


「そんなことじゃないのっ…。

本当にわかんないのっ?

私はちゃんと会話をしたいだけ。

ちゃんと私の方、見てよっ!!」
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