* another sky *

「マンネリだなんて言うからだ。」


「ご、ごめんな…さいっ。」


だって、羨ましかったの。

玲があんなに幸せそうに笑うんだもの。

渡瀬さんだって、玲を愛おしそうに見つめて…。

私、由樹と一緒にいて、あんなふうに笑ったこと、最近、無かったから…。


拗ねたみたいで、恥ずかしい。

ごめんね、由樹。


由樹の動きが早くなるのを感じて、もう終わりが近いことに気付く。


私の鼓動も、早くなる。


「…よ、しきっ。」


「一緒にいけるか、麻友理?」


「うんっ。…よ、しき…お願い、中で…。」


「え、でも…。」


私は固定された両手を由樹の首にかけて、由樹の顔を近付けた。


由樹、――――。

今、どんな顔、してるの?


「平気…だか、ら―――。」


甘い唇が落ちてきて、私の唇を覆う。


由樹の好きにすればいいわ。

私は由樹だけのものだから…。


視界の奥に、玲と渡瀬さんが笑っているのが見えた。


私も、同じ。

私も由樹に愛されているのよ。


初めての経験も、また一歩、大人になったような気がしていた。


それからしばらくは、由樹が好むまま、愛されることが多くなった。


由樹がそうしたいなら、構わない。

私は望まれるまま、奉仕をして、全てを受け入れた。


そして唐突に、―――――。


私は由樹に、捨てられる。


マンネリはずっとマンネリのまま。


私は飽きられてしまったんだ。
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