* another sky *
面と向かって言うことはなかったけれど、玲は由樹に対して、凄く怒っていた。
そこで、気付かされたんだ。
私は、由樹に対して、怒ったり憤ったりする感情が、無かったから。
何で、玲が、怒ってるの?
怒る………?
怒って、いいの……?
由樹が、全てだったから。
依存が強すぎて、由樹が悪いなんて、思えなかったんだ。
怒って…いいんだ…。
それくらい、私は自分のおかれた状況が、見えていなかった。
私にとって、玲が唯一の正しい基準なのかもしれない。
玲と同じ行動を取っていれば、間違いはないのかもしれない。
そう思って、由樹から、私は玲へと、ターゲットを変える。
玲の行動全てに、依存を始めたんだ。
いつだって玲は冷静だった。
自分の言動に責任を持って、慎重に行動する。
どんなに遅くまで遊んでいたとしても、次の日に講義があれば、必ず朝から授業に出席していた。
「明日、絶対、起きれない…。
もう、休んじゃう。」
すぐに甘えたことを言う私を、玲は決して咎めたりしない。
「もう、麻友理ったら。
なるべく、授業は出るんだよ。」
玲がそう言うのなら、ちゃんと行こうかな、なんて。
いつも笑ってるし、私は玲と一緒に過ごす居心地の良い時間が大好きだった。