* another sky *
成績優秀な玲は、やっぱり努力の人で……。
玲の制作した作品は、素晴らしかった。
細かい部分までこだわっていて、私なんかじゃ想像もつかないようなデザインで仕上げてくる。
その横で、
「あーん、出来なーい。」
と、ぼやく、私。
デレっとした顔を見せながら、
「石井くんは仕方ないなぁ。」
と、教授が声をかけてくれたり、手を加えてくれたり。
出来上がったものは、当然、いい感じだったし…。
私の方が、教授にも気に入られていると思っていた。
だけど、教授に気に入られていたのは、玲の方。
教授から、紹介されたデザイン事務所のバイトも、私も一応、声をかけられたけど…。
でも、雑用でしょう…?
お茶くみとか、事務みたいな仕事、嫌だもん。
手を上げたのは、玲だけ。
私はさっさと、辞退させてもらった。
まさかそこが大手だなんて、知らなかった。
結局、面接で何人も落とされて、合格したのは、玲だけっていうし。
そこで航太と知り合うなんて、ちょっと出来過ぎてて、ずるい…。
玲と同じようにしていたら、玲のようになれるんじゃないかって……。
それは単に、航太に惹かれていただけだったのかな。
玲に並べば、航太が、――――。
もしくは航太のような都会的な男が、手に入るんじゃないかって、そう思ってたのかもしれない。