* another sky *


「…玲に…、そんなこと言ったのか!?」


航太は怒りを抑えているのか、ソファを掴む指が白く震えている…。


「何で、怒ってるの…?」


「……っ。」


「やだ…、怒んないで。」


航太の頬にそっと触れ、私へと視線を向けさせた。


爪のお手入れだって完璧。

淡いピンクのジェルに、小さなスワロフスキーが輝いている。


「ねぇ、怒んないでってば…。」


私のこの声と、潤んだ眼差しで下から覗き込むと、大抵の男は許してくれる。


私の、とっておきの利器、―――。


由樹と別れた事がわかると、私は一気にもてはやされた。

いろんな人からちやほやされ、自分がどんなに人気があるのか目で見てわかった。

由樹なんていなくたって、男の人なんて選べるほど近寄ってくる。

弱々しくちょっと甘えた声を出せば、大抵のことは許してくれる。


航太は、この私が選んだ、男なんだよ?

全て兼ね備えた、完璧な男。

航太だって、私のこの顔が好きなくせに。


「玲に言ったのはね…。」


私は含みをもたせるように、話をした。


「私が航太を好きになったこと。

クリスマスに一緒に過ごしたこと。

航太と幸せになりたいってこと。

私達が真剣だってこと。

だから、玲には悪いと思ってるって、謝ったのよ。

それだけだよ?」


――――――!!
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