* another sky *

「麻友理と付き合い始めたのも、最近になってからだ。

ずっと…、玲のことが忘れられなかったからな。

そうだろ?」


一言も、聞き洩らすな。

そんな強い意志を感じさせる眼差しに、私は眩暈がする。


「私達は、気持ちは通じあっていたわっ。

航太は酔ってたし、覚えていないだけよ。

私のことを愛してるって、言ったもん。

私は本当のことを、話しただけよっ!

あの頃の航太は、私のこと、好きだったでしょう?」


必死に弁明する自分が、情けなかった。


「ねえ、だから、玲に内緒だったんでしょう?

それって、私を選んでたんじゃないの?」


「…俺は確かに酔っていたよ。

だけどな、自分が何をしたかくらいは覚えているよ。

俺は理性がなかった。

恋人の親友に手を出した、最低な男だよ。

キスのみ、――――。

それ以上、何も手は出さなかった。

だろ?」


――――――――!!


「あんな場所にキスマークつけられて…。

でも俺はずっと…。

自分が悪いと思って、一度も麻友理を責めたこと、なかったよな。」


追い詰められていく私にはもう、逃げ場がなかった。

わかってて…責めなかったってこと…?


「麻友理…、何でそんな嘘、ついたんだ?」


―――――――!!


なんで、って…。

何でって、そんなのっ。
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