* another sky *
「玲…玲に、恋人が?」
「ああ、だから玲は関係ない。
単純に一人になって考えたい。
麻友理と付き合うと決めた時、俺はちゃんと考えてそうしたんだよ。
だけどな、いろいろとわかった今じゃ、その気持ちに自信が無くなったのも事実なんだ。」
「……っ。」
「もう、無理なんだ。別れよう。」
やだ。
やだ。
やだっ!!!!!
航太は、私の頭をくしゃっと撫でて、立ち上がる。
やだっ。
行かないでっ。
行かないで、航太っ。
「私っ…、航太がいないと生きていけないっ!!」
―――――――!!
航太は悲しそうに振り返ると、私を憐れむような顔で見つめた。
「麻友理、麻友理なら俺より良い男、すぐに見つかるよ。」
航太より良い男なんていないっ。
すぐになんか見つからないっ。
「嫌よっ。航太、行かないでっ!」
「…今までありがとう。
麻友理。…幸せになってくれ。」
――――――――!!
「ま、待って!」
私は慌てて、航太の胸に飛び込んでいった。
玄関のドアに押しつけるように、必死にすがりついて懇願する。
「嫌よ…。
ねぇ、お願い…。
別れたくないっ。
航太がいないと、生きていけないのっ!」
絡みつく私の腕をそっと外しながら、航太は私の目を真っ直ぐに見入る。
「……っ!!」